今っぽくリアルで身近な題材でシンプルなストーリーを紡ぎながら、そこにとても普遍的な社会の縮図を浮かび上がらせている。というのは、ある意味、それはそうなるだろうという事ではあるのだけど。
世界をレンズで切り取って繋ぐというドキュメンタリー的でどこか実験的な手法にも思えるし、特にラストの決定的な瞬間を見せていないところなど観客に委ねられている部分も多くあるように思えるが、決められたストーリーを映しているという意味では、そこにはとても明確な意図があるとも考えられる。
先日友人に濱口監督が世界的に注目されている理由をしっかりと解説してもらったのと、ヨーロッパで映画関係者が濱口監督のことをフィロソフィカルなディレクターと呼んでいたということもあって、そういう覚悟で観ることが出来て良かった。