woos

悪は存在しないのwoosのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
-
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて鑑賞。
2024年新作劇場鑑賞25作目。
客席は8割くらい
テーマ「それが起こってしまった」

[全体として]
濱口竜介監督作品は毎回観終わった後に考え込んでしまうような映画が多い気がするが、今年一番驚いた映画だった。
お話的には長野県の山奥、水挽町(多分架空)で便利屋として暮らしている巧は小学生の娘と二人で暮らしている。若い(この町にとって比較的)移住者のお店を手伝ったり、何かと皆から頼りにされている。ある日東京のタレントマネジメント企業がこの町にグランピング施設を建設しようと説明会が開かれるのだが、この町の売りの一つである水質を汚染してしまうことが分かり、また計画が杜撰なことから住民と意見が合わなくなってしまう。みたいな話。

[良かったところ]
最初は都会VS田舎的な話で最終的に落とし所を見つけて、話は解決。「対話が大事ですよ何事も。」的な話なのかなーと思っていたのだが、よく考えてみれば濱口監督がそんな通り一辺倒な作品を作る訳がないのである。観ていて声に出して「え!?」と言ってしまった。
そして気になって2回目を観たが、これが1回目を観た時よりヤバかった。なんか全てが伏線のような別の意味を持って見えてしまう。
途中で区長のおじさんが言う「上に住んでいる者の影響が下に住んでいる者に出る」みたいな言葉から、政治的な話のメタファーようにも見えてくるが本当は目眩しなんじゃないか?とか、あのうどん実はそんなに美味くないんじゃないか?とかいろいろ考えてしまったが、まあネタバレしない方がいいと思うのであんまり何も言えない。
とにかく景色が美しいし、結構笑える描写もある、ほっこりする描写もある。しかし観客はあの広い原っぱに取り残されてしまうと思う。
妙にセリフがなく間が多い作品なのだが、それがあの味わいを出しているんだろうなと思う。

[気になったところ]
それにしても、巧がマジで何考えてるのかわからない。
ネットで検索するとドラマ/ミュージカルって出てくるのだが、ミュージカルではないのでどこのサイトか知らないが直しておいてくれないかな。

----------------------------
個人的に今んとこ今年一番面白い映画でした。
おすすめです。
woos

woos