あんじょーら

悪は存在しないのあんじょーらのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
3.5
濱口竜介監督     Incline     ル・シネマ渋谷宮下


2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は11/44


前作「偶然と想像」がなかなかの衝撃作だったので。


森の中を真上を向いている視点で木々を下から眺める映像が流れる中、非常にドラマティックな音楽が流れていて・・・というのが冒頭です。


これは、何も知らないで劇場で楽しむタイプの映画。そして、非常にヨーロピアンな感覚を楽しめる人向き。もっと言うと能動的に楽しめる人向き。


GW最終日に朝一の回を渋谷で鑑賞しましたが、前夜にネットで空席だらけだったので、余裕かまして10時過ぎに着いたら、長蛇の列・・・つまり、普段ネットで席を予約し慣れていない映画ファンが大挙してくるような作品。例えば日比谷シャンテでかかりそうな作品と言えば分かっていただけると思います。


でも、凄く直球な作品とも言えます。


私はタイトルの意味は自然の事だと理解しました。


ラストについて、誰かと語り合いたい作品。


本当は「GIFT」と呼ばれる対になる作品を観ないとちょっと簡単に何も言えなくなるのではないか?とも感じましたけれど、非常に心に残る作品。


まず役者さん、それも主演者の巧役は実のところ役者さんではない、というのが衝撃でした・・・でも、とても、とても何かを抱えている感じが出ていますし、まさに自然の中の生活者に見えるのです。でも、何かしらの問題も抱えている感じ。それも決定的な何か・・・


都会から来る2人組も不思議で、実在感、まさにこれは会話劇における濱口監督の得意技ですけれど、凄く現実との地続き感があります。これは既にメソッド化されてて、こういう部分はとても演劇的と言えるかもしれませんけれど、上手いです。


もう1つの主役は、間違いなく音楽。劇伴の石橋英子さんの素晴らしさでしょう。物凄く雄大に感じます。現代音楽に詳しくないので分からないのですが、「ドライブマイカー」の時に組まれた方で、この映画は石橋さんのミュージックビデオの製作がきっかけとなって生まれている作品なので、音楽ありき、は当然なのかも知れません。


是枝監督とはまた違った、巨匠になりつつある人を見続ける面白さに興味がある方にオススメ致します。


あ、すごく、うどんが食べたくなります。そして、まき割りしたくなります。ちなみに私はやった事ありますし、結構楽しいですよ。


やっと人の感想見に行ける!楽しみはこれからだ。