悪は存在しないのまやのネタバレレビュー・内容・結末

ずっと楽しみにしていた。Giftを観ていたので結末は分かっていたが、Giftを観た時からどう展開していくのか気になっていた。既に2回観たが、今までの人との分かり合えなさが、より広い範囲で描かれていて、また異なる視点からの作品だなと思った。自分は狭いコミュニティでの濱口監督の会話が好きなので、少し面食らってしまった。

石橋英子さんの音楽と共に自然、木の上の空が長回しで写し出される。ここでなぜだか涙が出た。美しさにやられたという感じ。

物語に関しては、最後のタイトルが登場するところで全てが語られている気がした。こういった曖昧な問題に対しても曖昧なまま提示して終わらせられるけどきちんとそこで終わられないのが濱口監督だなと思ったし、それがやはり優しさだなと思った。

みんながみんなそれぞれの立場に置かれていてその視点からでしか世界を見ていない、独善的な狭い視野からでしか世界を見ていない。そんな印象が強かった。社会を多角的に捉えて、さまざまな立場からの考え方をそれぞれ提示された気がした。

川は上から下に流れ、バランスが大事という本質的な言葉が頭から離れない。

自分よがりな視点に自分もなりがちだから気をつけたいし、曖昧なものを曖昧なままにとらえる柔軟さも欲しいなと思った。