じぇいらふ

悪は存在しないのじぇいらふのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.9
悪は存在しない〜どころか善悪という人間的なことはどうでもいい衝撃笑

『ドライブ・マイ・カー』で一躍世界中で注目の映画作家となった濱口竜介監督待望の最新作。あれだけの作品の後にもかかわらず、有名俳優は一人も出ていない、シネコンではないミニシアター中心の少ない上映館数の小規模作品。有名になった途端にスタンス変わるより、こうして元の立ち位置に戻るのはいいですよね。それゆえに楽しみでしたが。。。想像以上🤣面白かったというかスゴい!!いろんな人がレビューするように賛否というか観た人全員モヤモヤするだろう斜め上の衝撃作😱こんなに有名になっても全然ブレない、ある意味さらに先に進んでる。やはり現在最注目作家だし、今年の新作映画ベストの1本👍👍👍👍

🎞️ゴダールみたいなタイトル 木々を見上げて進む曇り空 音楽🎵 字の小さなキャスト表示 全部英語表記 結構長い 音楽を聞かせるターンか? 足音突然音楽止まる 見上げる女の子 チェンソーの音 木を切る男 〜はじまり

📖長野県水挽町。自然に囲まれたこの土地で、父タクミと娘ハナは自然と共に慎ましく暮らしている。そんな時、町民を集めてのグランピング場の開発計画の説明会が開催されたのだが。。。というおはなし

長野県の美しい自然を活かしたロケ撮影が圧倒的に美しくて、山並みと青空が綺麗。しかし同時にこの美しさにある意味不思議な不安感があるのも見事な撮影⛰️

今回は前作で音楽を担当した石橋英子のライブ用映像としての作品『GIFT』の制作過程で出来上がった長編新作とのこと。それ為か、ストーリーを展開させるより音楽を聴かせる様なシーンがよく出てくる。『ドライブ・マイ・カー』の時は特に意識していなかったが、今回は結構大きく音楽が出てくる場面が多いので、音響系だったりクラシカルだったり結構今回不安を煽る様な曲調でとても印象的。ある意味亡き教授=坂本龍一の晩年の作風っぽい。
その音楽が大きく盛り上がるのをぶった切る様に、セリフのあるシーンが突如始まる。ここら辺タイトルやら明らかにオマージュしているゴダールっぽい。あんなにぶっきらぼうではないが笑
石橋英子の音楽ターン↔濱口会話ドラマターンの行ったり来たりな感じです。

ドラマパートがやっぱり面白い。特に説明会での刺激的な住民といかにもわかってない都会人っぽい開発側のやっぱりな対立構造的やりとり。はじまりから結構幻想的、自然の美しさを観てきただけに、ここでのある意味人間のエゴと住人の生々しいぶつかるよくあるあるな感じ。しかし単純なデリカシーのない都会の開発者vs自然と共生してきた住人というステレオタイプではない、住人もまたかつての住み着いて来た者達で実は元をたどれば同じであるという説明は面白い。そしてそこから、、、開発業者側の人々にも人間的な悩みがあったりとか(やっぱりの車内🚗)、、、そこら辺のドラマ展開と繰り広げられる濱口会話劇の魅力にすっかり見入ってしまう。

有名俳優ではない、濱口キャスティングの妙。生々しいまさに演技でなくそこにいるかのような人々の濱口ワールドが展開する。演技が上手い下手とかそういうことが途中でどうでもよくなるあの感じ。流石です。よく知られた有名キャスティングでほぼ興業が決まってしまう日本映画の傾向とは真逆のスタイル、、、にも関わらす結構お客さん入ってます。すっかりこの独特な世界は一般映画ファンにも知られたからか?こんな映画作家は唯一無二ですな

娘ハナ役の子が、どうも年齢感がよくわからない小学生?、大人と子供の微妙な存在感がとても印象的で、この子だけある意味現実離れした感じがしていいです。。。後ほどこの子がとても映画の大事な展開に絡んでくるのですが

果たしてグランピング場開発はどうなるのか?、、、とか思っていたらびっくりの衝撃展開笑皆さんそう言いますが、ネタバレしないならそうとしか言いようがないので、、、是非予備知識なして観ることをオススメします🙆‍♂️

つかライブ行かないと観れない『GIFT』観たくなりました。販売して欲しいです🎵

⚠️そしてここからネタバレ↓ ↓やっぱりラスト抜きにはレビュー無理笑

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終わってびっくりしたのは、えええ!ここで終わり??続きは???って感想笑
2時間のはずが、体感1時間くらいの映画に感じてしまった。もう終わり?!後1時間はいるだろう~パート2続編希望とか笑
それだけの衝撃のラスト。。。起承転結でいうと転で「終わり」みたいな感じ。そいういう意味では集中してたんだなあという、濱口マジックに魅せられたらしい

ラストの解釈はいかようでも出来る感じですが、、、自分としては幻想として片付けるより、やっぱりハナと親子🦌を見つけて、タクミは娘を助けるために大声を出しそうな高橋を🦌を刺激しないように黙らせた~という感じが一番しっくりくるかな?と思いました。黙らせるのに必死で娘がどうなったのか?は見れなかったし、気づいたら娘だけが倒れていたという展開をそのまま観客も体験している感じです。娘の安否は不明ですが、(一応確認しているがどちらとも取れる)タクミの忘れグセのせいでもあるので、酷い後悔の念で元の生活にはもはや戻れないと思いながら娘を抱えて走っているであろう、、、もうそこから先は想像でしか無いという文学的展開、、、と衝撃で結構勝手に自分作ってるかもなので笑見直したいし、見直してもいいと思える作品ですね

続きが気になるといいましたが、後で思うに、グランピング開発がどうなったか?はどうでもよくて、この開発ストーリー自体はどちらになったとしてもあんまり面白くないよくある自然と開発の対立ドラマ以上の展開にはなりそうもないので、濱口監督がやるならこういう全然予想外のまさに人間の世界の理屈を自然の理不尽さがぶった切る的な話の方が面白いよなあ、と思いました

、、、にしても結婚とか、家族とか、自然の素晴らしさとか、、、人間的な幸せ像を相変わらず全く信じていない残酷な濱口竜介ワールド健在ですよね笑