長野の大自然のなかで、土地を拓き、発展しながらも、自然界と共存し、日々の生活を営む住人たち
言葉がどっと溢れることも、無理に抑えることもないけれど、確実に交わされる言葉たち
登場人物たちのその会話によって明らかになる素性や背景
何気ないようで、緻密に計算し尽くされたようなコミュニケーション
台本を読んでいるような会話かと思いきや、日常をそのまま映したかのような巧妙なトーンやテンポに不思議な感覚を覚えた
不穏なまま進むけれど、そこには常に人間らしさがあり、巧の感情の起伏があまり表に出ないこともあってか、不安は煽られなかった
だからこそ、最後、何が起こったか理解が追いつかなかった
呆然とする間もないエンドロール、思考を巡らせてもなかなか整理がつかず、未だ全然ついていない
まさに劇場で観るべき作品
配信で観たら、気持ちが取り残される上に、明確な着地を求めてしまっていたかもしれない
え…?と、困惑した表情を浮かべるみなさんと劇場を後にするのもまたひとつの体験
衝撃や心地悪さをも快楽に感じさせ、受け取り手に多義的な解釈や想像の余地を残すような作品との貴重な出会いだった