KOZO

悪は存在しないのKOZOのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
3.9
伝説⁉︎の5時間17分の『ハッピーアワー』、商業映画デビュー後の『寝ても覚めても』『ドライブ・マイ・カー』、『偶然と想像』どれも好きだから待望の濱口監督の新作ということで期待していた。

『ドライブ・マイ・カー』でコンビを組んだ音楽の石橋英子のライブ用の映像から始まったという今作、最初の15〜20分くらい?(もっと短いかもしれないけど、体感はそれくらいだった)は確かにライブで使われると印象的だろうなと思いつつ、濱口監督の得意な会話劇が始まるまでのイントロ?としては長過ぎた。睡魔が…
隣のお客さん、ここだけでなくほとんど寝てた。。

最初は主人公の父娘を中心とした日常、自然の風景。まだ眠気が…。
やっと始まった、町にグランピング施設ができることについての町民向けの説明会。
出演者それぞれのキャラクターもわかり始め、徐々に引き込まれていく。

ただ演技経験ゼロで今作に抜擢された主人公になかなか感情移入ができず。むしろ悪役である流行りのグランピング施設に飛びついた芸能事務所の社員の方が人間臭くて好みだった。無理して町民に取り入ろうとするもさらっと拒絶される様は哀れだけど、自分も仕事でこんな体験したなあ…。

クライマックスのある事件でストーリーは大きく展開。でもあのラストは観客に解釈を委ね過ぎ。それなら最初の映像を少しカットして、それぞれの出演者にもう少し感情移入する時間を与えてもらえたら。
『ハッピーアワー』の5時間17分、素人の役者ばかりだったけど、あのたっぷりな時間で主要キャスト4人にしっかり感情移入ができたから長時間も乗り越えられたと思う。

どなたかが書かれてた、この胡散臭いグランピング施設に行政が補助金を出したとのシーンはコロナ禍の時に映画や映画館に対し行政が補助してくれなかったことの監督の皮肉とも。
昨日の七藝さんも満席。他でも満席が続いてると聞く。あえて今作をミニシアターのみの上映としたのも監督の全国で頑張ってるミニシアターへのエールと考えても良いのかな?
KOZO

KOZO