ぽて

悪は存在しないのぽてのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

長いカットや薪割りの一連、後に残るカットが、時間のゆったりした感じや自然の神秘性、映画の世界観をすごく表してた。
自動車の後方からのショットとか、山の中を匠が歩くのを横から追うカメラワークとか、印象的だった。
あと、高橋と黛が巧と水汲みするシーン、なんか不思議だったな、めっちゃ音楽流れてて、ここクライマックス?的な感じ、どういう狙いなのかは分からんけど。

説明会のシーンからセリフが増えて面白くなってきた。住民と言い争うのはめっちゃ面白くて、住民に当然共感するし高橋嫌な感じだったけど、だからこそ車内の会話シーンは最高だった。これぞ濱口竜介って感じ。あれだけ人間臭くて笑えて共感できる会話、すごいよね。後部座席からの長回しも、いい演出だった。薪割りチャレンジもうどん食った感想も、笑ったし高橋好きになった。

悪は存在しないってこういうことか〜とか思ってた。で、そこからあのラスト、もう意味わからん。自分なりの解釈では、映画観てて思ったのは、
「鹿を脅かすと余計に花が危ないと思ったから。」
だけど、チョークスリーパーする理由には弱い気もする。で帰り道に考えてて思ったのは、
「巧は花のことを疎ましく思ってて鹿に襲われてほしかった。」
これだとまあチョークスリーパーしてもおかしくはない?し、巧が花に対して無関心なことの答えになるし。
あんだけ迎えにいくの忘れるのさすがにおかしいし、忘れたら小さい娘が山の中1人で行っちゃうのに全然心配してないしで違和感あるもん。花の相手せずに絵描いてたり、母と3人で映した楽しそうな写真が置いてあったりで、母がいなくなった今巧にとって花は大事じゃなかったんじゃないか。これが今のとこ自分の解釈です。
巧の言葉遣い、「〜だ」ってやたらと断定を使いがちで、「鹿は人を襲うことはない」とも言ってた。でも花は鹿に襲われた。断定を否定してる。そうするとタイトルの「悪は存在しない」も否定されて、悪は存在するってことなのでは。だから最後の巧の行動は、完全なる悪意なんじゃないか。人の心には悪が存在してて、それにどう向き合うのかを問うているのがこの映画なのでは。とかいうことをごちゃごちゃと考えました。
映画としてはめちゃ面白くて、観て良かったです。
ぽて

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