あいこ

悪は存在しないのあいこのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.5
この映画の感想を言語化したくない、面白かった良かった凄かったそんな表現はもちろん用いたくなくて どんなに言葉を尽くしても すべてが通り過ぎ闇に沈んだスクリーンの静寂を見つめた瞬間の心持ちには絶対に言葉として出会い直すことは出来ない、それでも今感じていることを書き出さずにはいられずこうして言葉を紡いでしまう

恐ろしいほどの美しさをたたえた自然 唐突に訪れる静寂 淡々と移りゆく視点 それらのすべてに脈絡がなく、結局のところすべて人間の価値観かつ概念でしかないと突き放されたような、それでいて真摯なまなざしにただまっすぐと見つめられたような不思議な感触が今も抜けない 波のように押し寄せる旋律が今も体のどこかで鳴っているような心持ち

見つめる立場によって解釈によって善悪なんてものは変化するとかそんな人間主体な思考ではなく、もっと大きな流れのようなものの存在を近くに感じた時間だった、だからこそ言葉にするとすべてが陳腐になり 綴った文章をなぞるとわたしを尋ねた感情すべてがよそよそしい顔をして並んでしまっている もどかしくて悔しくてけれど自身の及ばない何かとその分からなさに圧倒される心地良さを感じている、そんな時にわたしのすべてを包むように訪れる静寂がとても好きで 久しぶりに出会えてとてもうれしい
あいこ

あいこ