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悪は存在しないのMMRのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

独特のカメラワークと美しい信州の自然がとても印象的な作品。
ただ、冒頭の木と空を映す長回しは半分寝てしまった。

巧という人物がその素人っぽさと相まって背景が謎すぎて不気味さすら漂っていた。制作スタッフを抜擢したというから、濱口監督の手法はここでも独創的だ。

もっとも、『ドライブ・マイ・カー』と異なり、作成経緯からして、ミニマムな体制で作った作品だからこその配役だろう。

巧という人物の背景としていくつか気になった。
・妻とは離婚なのか、死別なのか。
・薪を割っている姿と水汲みしかやっていない巧はなぜ金に困ってないのか。
・毎回、巧が花の迎えを忘れるのは何か病気なのか、それとも興味がないのか、妻との別れから間もないので慣れないのか。
(おそらく花の髪が長い割に傷んでない事からすると、妻との別れからさほど時間が経ってないはず)


花が行方不明になるのは、前振りからすると予測されたところだが、時折響く銃声、鹿の習性、迎えの時間を忘れる巧、タイミング悪く打ち合わせに来た東京の2人などあらゆる事象が収束するかのように悲劇的なラストに向かう。

巧が説明会で発した「大切なのはバランスだ」という言葉が重く響く。
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