このレビューはネタバレを含みます
"どう感じた?"と尋ねられるとすぐには答えられないというか言語化がとても難しい。
だけど、とても上質な音楽、自然豊かな町、景色、演出、カメラワーク、長尺のカット、色彩…なんかすごいものを観たなって気分になった。
観終えた人を"観た"だけで終わらせない、とても考えたくなる作品のように感じた。
おそらく悪は存在しない。けどどこか歯車が噛み合わなくなっていくような不安感。
人間も、動物も、自然も、生きとし生けるもの。対等に考えるのは難しいけど、巧さんは対等に考えようとしていたんだろうな。
車目線のカットがとても印象に残っている。
少し記憶が曖昧だけど、芸能事務所の方々が乗る車のシーンは進行方向目線、巧さんや町の方々が乗る車のシーンは後部座席から来た道をみている、道をなぞっているような目線が多かったように感じた。
町の方々は自分達の行動次第で町がどう変わっていくか、また、変わらずそのままなのか、ずっと考えてきて、自分達の行動や生活で貢献したり支え合ったり、町を大切にしているように、それが車の目線にも表れているように勝手に感じれるというか。自分たちがつくってきたところに道ができる、町と一緒に歩んでいるという意味にも捉えられたりするのかなと思ったり。逆に芸能事務所の方々は未来のこと、未来の会社、未来の自分たちのことを沢山考えているようだったから未来を切り開いていく、進んでいくように前に道があるように描かれていたのかなと思った。
"悪は存在しない"ことについてもう少し考え続けたい。