【第53回ベルリン映画祭 ジェネレーション部門作品賞】
オムニバスホラー『フォービア2』の監督の一人でもあるソンヨット・スックマークアナン監督作品。ベルリン映画祭ジェネレーション部門に出品され作品賞を受賞した。タイ・アカデミー賞であるスパンナホン賞でも編集賞、美術賞などを受賞した。
期待を超えて面白い作品だった。ヒューマニズムに基づいた青春ホラーとして出色の出来では。
タイのホラーは冗長、もしくは説明不足の二択のような気がしていたんだけど、本作はそこのバランスもとれて話としても面白い秀作になっていた。ベルリン映画祭での受賞も納得。
寄宿学校に編入させられた少年チャトリーは、その学校生活を通じて人生と向き合っていく。
予想はできる範囲だが、展開に工夫があってよかった。幽霊との交流を通じて死と向き合うという青春ホラーの定番でもあるが、丁寧にそこを描いていた。主人公が寄宿学校に来た経緯の説明もスムーズでよかったと思う。
犬の遠吠え、壊れたレコードなど小道具の使い方も上手い。伏線の張り方がわざとらしくなくスマート。
しっかり面白く怖い青春ホラーとして、クオリティに差があるタイホラーの中では飛び抜けた一作であるように思う。