抹茶マラカス

伯爵の抹茶マラカスのレビュー・感想・評価

伯爵(2023年製作の映画)
3.8
アウグスト・ピノチェト。チリの独裁者であった彼が実はその遥か前から生きていて吸血鬼だったら?というヘンテコ設定のブラックコメディ。マリーアントワネットの打首にまで立ち会ってる。ホアキン・フェニックス・ナポレオンも立ち会ってたし、すごいですなー
そのピノチェトがいい加減に死にたくなったので遺産整理するんだけど、その過程で新たな恋しちゃって遺産が欲しい子どもたちは困ったわとなるんだから実に不思議な論理で動く。誰が噛まれてて誰が噛まれてないのか、そしてこれを語っているナレーションが誰なのか。このナレーションの正体にはびっくりしたが、そういえばパブロ・ララインだった、前作を考えればそこを引っ張ってくるのも全くあり得なくはない、と納得。『オオカミの家』なんかもそうだけど、独裁時代をシンプルに批評するのでなくエンタメに落とし込む技術が光るフェーズにチリ映画は来ているのかもしれない
撮影賞ノミネートも納得の美しいモノクロ映像でした。