花火

人間の境界の花火のネタバレレビュー・内容・結末

人間の境界(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の多国籍な製作会社テロップが表示されたあと「presents」と続き、青々と茂る森を斜めに見下ろした空撮で前進する画面が、タイトルが表されると同時に色を失っていく。この画面づくりは中々見入った。章立てで構成される挿話で、シリアからの難民家族、比較的理性のあるポーランド国境警備隊員、難民支援の活動家たちとそれぞれ若干の接続を経つつ多面的に描き出されるわけだが、正直どれも人物造形としてはそこまで上手くいっておらず、ニュースで見て想像したくらいの域を出ていないのでは。唯一、そこそこ良心を持っていた国境警備隊員が任務に従事しているうちに遺体を鉄柵越しにベラルーシ側へ投げ返すほど心を失っていく話は、それが典型的であるが故にむしろ凡庸さが補強されているので興味深い。どちらかと言えば、たまたま近所で難民を目撃したことをきっかけに活動家が引くほど活動にのめり込んでいくユリアのエピソードの方がまだストレートで清々しさを感じる。
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