大岸弦

人間の境界の大岸弦のレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
5.0
人間の境界
神戸市内にある映画館シネ・リーブル神戸にて鑑賞 2024年5月7日(火)
パンフレット入手

原題「Green Border」(緑の国境地帯)
2021年 ベラルーシ政府がEUに混乱を引き起こす狙いで大勢の難民をポーランド国境へと移送する。しかしポーランド政府は受け入れを拒否、彼らを強制的に送り返した。この「人間兵器」と呼ばれる策略に翻弄された人々の過酷な運命を、シリア人難民家族、ポーランド側で彼らを支援する活動家、国境警備隊の青年などの複数の視点から描き出す。
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安全な生活が送れると信じてポーランドへ渡ってきたシリア人家族、しかしようやく国境に辿り着いた直後、武装した警備隊から非人道的な扱いを受けた上にベラルーシへと送り返され、そのベラルーシからも再びポーランドへ強制移送される。彼らはどちらの国からも押しつけ合われるように暴力と迫害に満ちた過酷な状況を強いられ、終わりのない無限地獄のような日々を過ごすことになる
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以下パンフレットより

同年7月頃から、イラク、アフガニスタン、シリア出身のEU移住希望者の群れがベラルーシの首都ミンスクから同国とポーランド、リトアニア、ラトビアの国境に移動し、EU域内への越境を試みるようになった。これはベラルーシの独裁指導者ルカシェンコ大統領が意図的に引き起こした難民危機だった(計略を背後で操っていたのは欧米民主主義国家の混乱を画策するロシアのプーチン大統領である)
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「移民戦争」のシナリオは以下の通り
中東各地でベラルーシからポーランド、リトアニア、ラトビアとの国境を超えてEU域内に移住できるという情報を与え、アフガニスタンやシリア難民のためにビザの有効期限72時間のツアーを企画する。ベラルーシ政府は意図的に彼らを「人間の武器」としてEU国境に送り込み、その状況を不安化させる。
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背景にはEUとの関係悪化があった。前年8月のベラルーシ大統領選挙でルカシェンコが選ばれるが、結果を認めない市民、国際社会による抗議活動が起こる。反体制指導者から弾圧され、リトアニアに亡命した。2021年5月には、アテネ発ヴィリニュス行きの国際旅客機がミンスク空港に緊急着陸を命じられ、乗機していたベラルーシの政治活動家が連れ去られた。
これらの事件に対して、EUはベラルーシに経済制裁を料し、ルカシェンコ大統領は報復として「移民戦争」を開始したのだった。

監督 アグニエシュカ・ホランド
ユリア役 マヤ・オスタシェフスカ
レイラ役 ベヒ・ジャナティ・アタイ
祖父役 モハマド・アル・ラシ
アミーナ役 ダリア・ナウス
ヤン役 トマシュ・ヴウォソク
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感想
リトアニアに逃げたベラルーシのルカシェンコ大統領が行った報復である。
大岸弦

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