カタパルトスープレックス

人間の境界のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
3.4
ヨーロッパの難民問題を扱った作品です。同じテーマを扱った作品に『ミッドナイト・トラベラー』(2019年)がありますが、あちらはドキュメンタリー。こちらはドラマ作品となります。

『ミッドナイト・トラベラー』にしても『ビヨンド・ユートピア 脱北』(2023年)にしても、過酷な旅路ではあるけど希望が持てる。しかし、本作は希望があまりない。ベラルーシまでは飛行機でひとっ飛び。でも、ベラルーシとポーランドの間で行ったり来たり。前に進めない。人というよりサッカーボールのように蹴り返される。ポーランドと国境を面するウクライナの難民は受け入れるんだけど。同じ人間なのに、なんでそうなるの?これが本作のテーマなのでしょう。

ウクライナ人とアラブ人との受け入れ方の違い。これは異物と感じるかどうかなんだろうな。宗教もそうだし、肌の色もそうだし、習慣もそう。異物だと思えば拒絶反応も起きる。これは日本人が外国人に対する拒絶反応と同じなんだと思う。

それにしても長い。とにかく体感時間が長い。テーマには共感するし、だからこそわざわざ劇場まで足を運んで観たのだけど、長い。いろんな視点を入れたい意図は分かる。分かるんだけど、それが効果的に機能していない。例えば、なんで難民はベラルーシに居たくないの?とか。わざわざ苦労してポーランドに行く意味がよく分からなかった。

それでも半分の時間で十分にメッセージは伝わったはず。なので映画作品としての評価はこんなもんかなと。