ベラルーシとポーランドの国境で難民に待ち受ける地獄のような現実を、難民や国境警備隊、人権団体、その周辺人物たちの視点から炙り出す。
難民をまるで害獣のように引き摺り回し、ボールの様に蹴り合う両国や、本作の公開に激しい妨害を行ったポーランド政府。
これらの対応に「なんて酷い国だ」と率直に感じるものの、人権を擁護し難民条約を批准しているはずなのに人種や出生、宗教で人間を選別し、国連から人権侵害を指摘されている「入管」を抱えた日本は間違いなく「酷い国側」だったと頭を抱える他なかった。
《余談》
①EUのマークの描かれた壁の前で途方に暮れる難民家族の姿があまりにも皮肉だった。
②ユリアに難民を「不法に」支援する人権活動家の疑いを持ったとはいえ、疑いの段階で全衣服を脱ぐよう圧力を掛ければさすがに警察側が訴えられるのでは。
あとその様子と全身をスクリーンにわざわざ映す必要はなかったのでは。
③ラストの「救い」が急でご都合感があった。
④パンフレットに日本の入管の人権侵害に関する指摘も入れないと「酷い国があるなあ」で終わってしまう人もいるのでは。
(字幕翻訳:額賀深雪)