みむさん

ルボのみむさんのレビュー・感想・評価

ルボ(2023年製作の映画)
4.0
イタリア映画祭にて。

ルボはフランツ・ロゴフスキが演じる主人公の名前だった。
観る前は3時間の尺にひるんだが、長きに渡る物語でいろんなことが起こるので長さはあまり感じなかった。

第2次世界大戦下のスイスでイェニシェ(移動型民族、白ジプシーとも呼ばれていた)の迫害を、一人の男の半生を通して描くドラマ。
ナチスによる政治犯、ユダヤ人、ロマ、同性愛者迫害のほかに、スイスではイェニシェも理不尽な国策により過酷な運命を強いられていた史実が見えてくる。

今まで自分が観た映画のなかではあまり語られていないことだったので興味深いのもあったが、なにしろ三時間の尺でフランツ・ロゴフスキが出ずっぱり、しかも長い期間を演じるので、大道芸人、兵士、ビジネスマン、囚人…といろんな姿が見られるのでずっと見入ってしまう。
それだけ波瀾万丈な人生だったということ。

愛する妻子は殺され連れ去られ、子供たちを見つけ出すことだけに執念を燃やす。
必死すぎて善からぬことも多々やってしまう。
悲しみあり、新たな愛あり、投獄あり、さらなる別離ありと、まあとにかく主人公はよくここまで持ちこたえたなというのが正直な感想。

それもひとえに愛する者(たち)と再会したい思いが強かったからだろう。

そう考えるとあまりに悲しい仕打ちだった。

見ごたえあり。

そしてフランツ・ロゴフスキはいつだって上手い。最高だね。