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潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

1.5
[イタリア、カリスマ潜水艦長は"海の男"] 30点

2023年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。エドアルド・デ・アンジェリス長編六作目。SAG-AFTRAのストライキの影響でルカ・グァダニーノ『チャレンジャーズ』の公開が延期になったことで棚ぼたでヴェネツィア映画祭オープニング上映を勝ち取った一作。二次大戦期イタリアの軍人でありながら、軍人である以前に海の男であるという信念の元、敵船を打ち沈めつつ助けを求める敵船乗員たちを助けていたという潜水艦長サルヴァトーレ・トダロについての物語。彼の物語はそこまで知名度が高いものではなかったらしいが、移民船などの難破船の救助禁止を言い渡されていたイタリア沿岸警備隊の現場職員が、それに反対する際にトダロを例に出したことがあったらしく、監督はそれで彼のことを知ったとのこと。本作品では1940年10月にベルギー船を撃沈させ乗員を中立地アゾレス諸島へ曳航していった話を120分たっぷりかけて映画化している。トダロのカリスマ的存在感、乗員たちとの絆、副艦長との更に強固な絆、本来ならあり得ない決断などがねっとりと語られ、過剰にセンチメンタルなナレーションで愛国心をくすぐっていく。食事シーンが多いのは、食事が潜水艦乗組員たちの最も重要な要素であり精神安定剤であったこと、そして食事を共にすることがすなわち"平和"であることと言っていた。それには同意しつつ、流石に大雑把すぎるしダラダラしすぎだと思う。"なぜ助けた?"という質問に"イタリア人だからだ(キリッ"と答えるストレートすぎるナショナリズムにもドン引き。キリッじゃねえわ。そこは文脈的にも"海の男だからです"じゃないんか。
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