Asino

けもの(仮題)のAsinoのレビュー・感想・評価

けもの(仮題)(2023年製作の映画)
4.0
レア・セドゥ主演、ジョージ・マカイ共演、ベルトラン・ボネロ監督作。
原作はヘンリー・ジェイムズの小説。

1910年パリ、2014年ロサンゼルス、そして2044年。生まれ変わっては出会う(けど結ばれない)ふたりの愛の物語であり、DNAに刻まれた前世のトラウマ(=人の感情)を取り除くことでしかまともな職業につくことができないディストピアSF(ちょっとホラー風味)でもある。

AIに社会の根幹を握られた近未来社会で、レア様演じるガブリエルが自分の前世の記憶をたどる旅に出る、というような話が骨子なので、時代も場所も行ったり来たり。
ベルエポックの時代と2014年のロサンゼルス、そして近未来と撮影方法も異なっていて、カットバックや画面分割がざくざく入る感じはとてもぼネロ作品。
けしてわかりやすい話ではないけど、MyFFFで見た同じ原作の映画化作品(「ジャングルのけもの」)よりずっとずっと面白かった。

ガブリエル以上にルイ(ジョージ・マカイ)のキャラクターが時代ごとにまったく違うので、一人3役4役状態の彼の演技を堪能するには最高の映画でした。
ベルエポックの時代の美しいお衣装に身を包んだ姿の後に、ミソジニーに毒された米英語を話し自撮りをSNSにあげてる男を見せられ、悪い意味で素直でいい子な近未来の可愛いルイのラストにショックを受け、忙しかったですけども…。

とはいえやっぱり主役はレア様。黒い液体に浸かっている彼女を見て、やっぱり怖がってないで「クライム・オブ・ザ・フューチャー」見なきゃかな…となりました。挑戦するか…。
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