ジュライ

DOGMAN ドッグマンのジュライのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
5.0
犬、しかもリュック・ベッソンとくれば観るしかない。
それにしても期待以上に良かったです。星10個つけたい。Blu-ray出たら絶対買います。

ああ犬はいいねえーーー。犬は地球の至宝ですね。犬いるところに光あり。

「人間を知るほど犬が好きになる」
「野生では弱者は排除されるけど、人間は弱くて臆病でも、生きる道を見つけられる。少なくとも短い間は」
序盤のこの台詞ですでにガッチリ心を掴まれました。

犬の美点はダグラスもいろいろ語っていたし、そのすべてに同意なんだけど、私が思う犬の大きな美点はもう一つある。
犬にとって人間は、ホームレスも大統領も等価値で、美醜も社会的地位も資産も経歴も生い立ちもなんら意味がなく、自分と相手の間の絆だけがすべてで、それ以外の何も判断材料にしない(エリザベス女王が犬を深く愛していたのも、おそらくそれが理由の一つでしょう。犬は「女王だから」という理由で尻尾を振る回数を増やしたりしないし)。
ダグラスの犬たちも、「ダグラスがダグラスである」という理由だけで彼を愛していたはず。
にもかかわらず、ダグラスはそれでもなお自分以外の何者かになりたくて装い続けるというのが切ない。
犯罪の手法も杜撰といえば杜撰で、彼にとって生きることとは自己破壊の欲求と自己保存の本能の狭間で揺れ続けること、という印象。

でも最後のシーンが示唆する通り、犬たちはあの精神科医とその家族を今後守っていくのでしょうね。
ダグラスが、自分にはなんの見返りもないのに、多大なリスクを背負ってクリーニング屋の店員を助けたのと同じように。


主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズの出演作は今のところ『フロリダ・プロジェクト』しか観てないけど、いい役者さんですね。他の作品もチェックしてみようっと。

しかしあちらの人は本当にキリストモチーフが好きだなあ。
ジュライ

ジュライ