冒頭のショッキングな展開に一体どう繋がるのか……を見ていたら時間がどんどん経って、最終的には良いミステリーだった。
認知症の老人目線で描いた『ファーザー』は素晴らしかったけれど、認知症の父を外から見るこの映画も恐くて滑稽で切なかった。
こういう性質の人が認知症になったら、こういう風になるんだろうな……という人物を藤竜也が嫌らしさたっぷりに演じていて魅了させられる。
映画では珍しく可愛い真木さんも見られた。この作品中唯一の癒し(笑)
劇中の息子は、ずっと「演じている」。ほとんど感情を動かすことなく淡々と。
理不尽な人生を描いているにも関わらず、ギャーギャー叫んだり泣いたりして表現するシーンがほぼ無く、それが救われるところ。
普通などなく、誰もが特殊。
どんな家にもそれぞれの事情がある。
しみじみ、それを味わえる作品。