このレビューはネタバレを含みます
大好きな勅使河原宏監督、大好きな赤瀬川原平脚本ということで喜び勇んで鑑賞。
「他人の顔」や「砂の女」ほどの実験的な画ではないけれど、やはり最後の利休自決シーンの演出(蠢く竹林の中、ゆっくりと闇に消えてゆく)などは観ていて惚れ惚れとしてしまった。
キャストも申し分なく、特に岸田今日子の含み笑い、山口小夜子の妖艶な仕草にはたまらないものがある...
長谷川等伯役には芸術家の元永定正。カメオ出演として勅使河原宏監督も登場。
そんな豪華なキャスティングの中、着物や茶器(国宝級の実物)といった小道具までもが一々美しい。
劇中の生花がカッコいいなあと思ったら勅使河原宏自身が生けたのか...「個性」を第一に重んずる草月流の家元らしい。
秀吉が持参した梅の枝を、利休が死骸のように生けてみせるシーンが好き。