YAEPIN

オカルトのYAEPINのレビュー・感想・評価

オカルト(2008年製作の映画)
4.7
工夫の凝らされた、非常に面白いオカルト・ホラー映画だった。

多くのモキュメンタリー・ホラーでは、撮影隊が怪異に「遭遇」してしまう体が取られ、それにより無理のある画角や「撮影隊はなぜ無事なのか」「この映像は誰が編集したのか」問題が発生してしまう。
しかし本作は、選ばれた男、江野祥平が通常の生活を送る中で遭遇する怪異(奇跡)を撮影していくスタイルで、撮影場所についての違和感はない。
また、普通は怪異の起源が明らかになっていくにつれて恐怖は薄れるものだが、白石監督自身が調査を進めるにつれて毒されてしまい、観客を置き去りにして主体的に自ら怪異に加担していくという、新たな恐怖が追加される。
数々の課題が克服された、完璧なモキュメンタリー作品と言える。

江野祥平を演じる宇野祥平の存在をたまたま知っていたからこそ何とか持ちこたえたが、それが無ければ私は本作で起こった事件を丸呑みで信じてしまっていただろう。
(少なくとも劇中に出てくる山は本当にあると思って検索してしまった)

それだけ撮影と宇野祥平の演技が持つリアリティが凄まじかった。
彼が百均で食糧を調達する際、手で重さを量る演出も、細すぎてもはや恐怖を覚える。
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