ハル

ある閉ざされた雪の山荘でのハルのレビュー・感想・評価

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
3.6
敬愛する東野圭吾先生原作の映像化。
「実写化不可能」が売り文句となっていて、期待せざるを得ない!
が…やや強引な展開といかにもな“作り物感”が少し引っかかってしまった。
登場人物が劇団員の設定なので仕方ないけれど、発する言葉の全てが台詞っぽい。
芝居に芝居を重ねるクドさというか…
チープな舞台を観劇している気分に包まれてしまう。

もしかしたら書籍では細部まで緻密に練り込まれてるくだりを省いているのかも。
とはいえ、構成自体はしっかりしているし終盤の畳み掛けるような真相の導き方には心を惹かれた。

加えて、役者陣も粒揃いなのでその点は素直に好印象。
特に堀田真由が良かった。
『バカ塗りの娘』で主演を努め、邦画やドラマへと出演が続いてる若手の注目株。
今作の役柄は勝ち気で負けず嫌いの劇団員。これまでと一味違っていて新鮮味を感じられる。
あとは岡山天音。
駄々をこねるシーンは『笑いのカイブツ』のツチヤがフラッシュバックし、彼特有の独特の雰囲気を醸し出す。
“異質さ”を身にまとったまま、とことん演じきれる役者は少ないので、今後も需要が絶えない一人に思える。

そうした全体像を踏まえてみると、今作の評価が上がってこないのは「そもそもこれはミステリーなの?」と感じてしまうからだと思う。
人間ドラマ重視、会話劇の要素が強い。
その為、トリックや犯人考察をお求めの方には不向きな作品だと思います。
若手役者陣の演技合戦を見たい方向けかな。
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