Jun潤

ある閉ざされた雪の山荘でのJun潤のレビュー・感想・評価

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
3.7
2024.01.23

重岡大毅×間宮祥太朗×飯塚健監督×東野圭吾原作
監督によってだいぶ印象が変わる東野圭吾原作作品、今作は果たして。

目隠しをされた6人の男女を乗せ、海沿いを走る一台のバス。
6人が降ろされたのは、豪華な貸し別荘の前。
別荘の前には、役者志望の久我がいた。
久我は手元にある舞台のパンフレットを参考に、目の前の6人の男女・本多、貴子、田所、由梨江、温子、雨宮に感動し、オーディションへの想いを語り出す。
久我を除く6人は劇団「水許」の劇団員で、最新作の主役オーディションの最終選考に参加するために別荘を訪れており、久我だけが外部から勝ち上がってきていた。
水許の演出家・東郷は7人に対して手紙と音声で、別荘で4日間過ごすこと、別荘は『閉ざされた雪の山荘』という設定であること、これから起きる事件を解決できた者、つまり、それほどの推理力と舞台上を生きられる者を合格者とすることを告げる。
そして始まる4日間の最終選考、和気藹々…ともいかず、部外者の久我に対する偏見、同じ劇団にいるからこその確執の中、何が起きるかも何を見られるかもわからない中で過ごす7人。
2日目、ついに舞台設定が事件へと移り変わるー。

はぁー、はぁ…なるほど。
終盤あたりまでは何がどうとか、分からないというわけではないけど、考えるには情報が少ないし、『インシテミル』かな?ぐらいにまで思っていましたが、ちゃんと東野圭吾作品らしく、事件を主体として加害者と被害者の心理を描くミステリードラマに着地していて、良い意味で期待を裏切ってくれましたね。
ラストであのキャラが立ち上がったりなんかしたら諸手を挙げて絶賛していたと思います。

話の導入としては、閉ざされた雪の山荘というクローズドサークルで起きた事件を解決していく話、でもそれは劇中でこれから作られる舞台のあらすじで、雪で閉ざされてもいないし山の中でもないし死体もないから事件かどうかも分からない…というのがまた、作中の舞台役者たちも映画を観ているこちら側も惑わしてくる。
話にのめり込めばのめり込むほど面白さも、終盤のどんでん返しも大きくなっていくんじゃないかと思います。

しかしまぁ個人的に、「ミステリー」そして「映画」として観るとちょいと気になるというか傑作には一歩及ばずといった感じ。
まずミステリーとして圧倒的に、定まった視点が無い。
仮に久我だとしても、久我が何者なのか、作品を観ている側と一緒に事件を追う「探偵役」としての描かれ方が序盤に不足していて、本当に信じられるのかも分からないから、定まった視点は置きかねる。
なんにも描かれない演出家の東郷の視点だとしても、事件の被害者役はどうやらいるようだけど画面内にはいないから、やはり事件かどうなのかも怪しい。
これが舞台の演劇作品だったら舞台袖にはけているのも見れるから視点も定められるんだろうけど、今作は映画ですし、カットの画角があって編集によってシーンが構成されるのだから、映像作品として100点満点だったのかはよくわかりません。
実際、ストーリー展開を描ききったという意味では今作は最適解だったと思います。

俳優陣については、若手と実力派のちょうど真ん中あたりにいる感じの人たちが集まっていて、良くも悪くも実力差が目立っていました。
個人的に、中条あやみが貴子を演じるのは西野七瀬堀田真由に比べると実力が足りてないし、森川葵ってもっと演技上手じゃなかったっけ?最近バラエティばっか出てたからかな?なんて思ったりもしました。
Jun潤

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