れおん

ある閉ざされた雪の山荘でのれおんのレビュー・感想・評価

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
2.7
死ぬ気で芝居しろ... 新作舞台の主演をかけたオーディションのため、「ある閉ざされた雪の山荘」に招かれた7人の劇団員。ところが2日目、劇団員のひとり、笠原温子が消える。芝居と見せかけて殺された!?果たしてこれは演技か、事件か。架空の設定のはずだったが、全員役者、全員容疑者の「密室」連続殺人事件がはじまる。

個性的な7人の劇団員を、豪華俳優陣が演じる。原作・東野圭吾による緻密なプロット。二重・三重にも伏線が張られている入り組んだ物語を、台詞等で巧妙に重ね、一つひとつ丁寧に解明していく。

『虹色デイズ』『ステップ』『ヒノマルソウル』の飯塚健監督・脚本。「究極のサスペンスミステリー」という割には、映像と音楽に終始、緊迫感がない。淡々と物語がはじまり、計画的に事件が挟まり、二重・三重に謎を敷いて回収するならの定番の流れで物語が落ち着く。とりわけミスリードもなく、演劇といえばの『何者』を想起していたら...。

許されない誤ちを犯し、他人の人生を狂わせた者が、いとも簡単に許されてしまう世界線はフィクションの世界にしか存在し得ない。人は気付かぬうちに、たやすく他人を傷つけることができるが、その傷をつけられた者は、死ぬまでその傷と向き合わなければいけないことになる。
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