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ある閉ざされた雪の山荘でのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

東野圭吾の同名小説が原作。

劇団水滸の東郷陣平という脚本家が、次の舞台のメインキャストを決めるための最終オーディションで七人の若い役者を人里離れた別荘に集める。

舞台の演技をしてると言えるのは麻倉雅美役の森川葵だけで、ほかはすべて映画やドラマの俳優に見える。彼女が第三次オーディションに落ちたという設定なのは、力み過ぎだったからだろうか。

とにかく空虚な中心のように東郷という脚本家がおり、しかも彼のオーディションと別荘で起こったことの辻褄が合わない話運びに「はて?」となった。劇団という構造に中心となる男性脚本家がおり、彼にキャスティングボート等の権力が集中している。それなのにあたかもその権力構造が存在しないかのように透明化され、若者たちの青春群像劇に仕立て上げる偽善に「うへえっ…」となった。たとえ劇の「作」が「久我和幸」になっていようと、彼の名前だけ水滸の劇団員と区切られているのは変わりないのであり、彼は余所者のままだ。

演じている俳優が旧ジャニーズという業界最大手の所属だということを考えると、皮肉を感じざるを得ないが。

アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を引用しているのにまったく活かされていないのにも驚いた。
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