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キエフ裁判
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目次

『キエフ裁判』に投稿された感想・評価

セルゲイ・ロズニツァ監督最新作。
同時公開につき、続けて鑑賞。
連続投稿失礼します。

1946年1月、キエフにて行われたドイツ軍関係者15名が人道に対する罪で裁かれる裁判の模様を収めた記録映像を映画化した作品。

「東京裁判」などの裁判映画と同様に、淡々と罪状に対する被告人弁論や、目撃者による証言が続く内容ですが、過去作「バビ・ヤール」で描かれたユダヤ人大量虐殺の生存者の証言もあり、一部内容が被る部分もありますが、ドイツ軍からすれば、当時のウクライナに多く住むユダヤ人を危険視し、それを根絶やしにすることが国にとっての正義であり、そういうう命令思想に沿って行われた行為である主張、そのものが戦争という愚かな行為の元凶であり、脅威や恐怖に対して、武力で行使する選択という思考が、敗戦によって裁かれることは、その正義の否定であることが、国に立場によって変わってしまう戦争という結果の処理が端的に描かれ、裁判記録である以上に、その場所の臨場感に溢れた映画になっていました。

映画的には「バビ・ヤール」の方が好みではありますが、戦争というものを現代から見て大局で捉えること、正義というもの定義が変わってしまう戦争という現場の恐ろしさを冷静に映画として表現されていて、この時期に見る映画としては良かったと思います。
ナチスだけを断罪していれぼ映画として成立する時代はとっくに終わっていました。

とくにソ連、ウクライナの話ですからね、この映画は。。

もう〝正義〟という言葉が怖すぎる。。
(同時期上映の同監督の『破壊の自然史』と併せてドキュメンタリー二選として『戦争と正義』というイベントタイトルがついています)

**

キエフ会議とは、

第二次大戦が1945年の9月に終戦し
翌1945年1月に
現在のウクライナ、
当時のウクライナ・ソビエト社会主義共和国の首都である
ウクライナ発音でのキーウ、
ロシア語の発音でのキエフにて行われた
ナチ・ドイツの戦犯を裁く軍法会議のこと。

ナチ関係者の15名を裁判にかけ、
被告人の論告と目撃者・被害者の証言を経て
12名の絞首刑が執行されるまでを
アーカイブ映像を編集して
効果音もつけて
ジリジリジリジリジリジリ見せていく。。

**

アーカイブ映像ってことは記録映像ってことでしょう。
「あとでドキュメンタリー映画作ろっ」と思って撮ってない
ニュース映像くらいの気持ちで撮られているはず。

なので映像はものすごい淡々としている。
悪いけど前半は眠かった。。。

ただ、被告人(ナチ関係者)と通訳者を丁寧に行き来する当時のカメラマンのカメラの動きはその心情が伝わってくるのが面白かった。

ナチ関係者はドイツ語なのでロシア語話者であろうソ連のカメラマンには、いつが話の終わりなのかがわからない。
たまに「あ、まだ証言終わってなかった?」って感じでカメラがサッと戻ったりするのが、
77年前のカメラマンの「あ、やべ」みたいな気持ちがカメラワークから伝わってきて、人間味があって面白い。

**

ナチ関係者の証言がまるで他人事のようだったのも印象的。

アドルフ・アイヒマンの裁判の様子も観たことありますけど、
高校の職員会議みたいな顔して座ってたんですよね。

「命令されたからやりました」「私は下っ端です」っていう。
やらなかったら自分が殺されていたし
自分がやらなくても誰かがやったし
自分よりもっと上手く(早く多く)やっていたかもしれないという謎の言い訳さえ出てくる。

「ホントにこの人たちが何万人も何千にも殺したの?」と信じられないくらい凡庸な男たち。

映画観てて眠くなるんですよ。。
話の内容は凄惨なんだけどあまりにも本人たちに実感がないから。。

**

後半、
目撃者や被害者(逃げることに成功した人)の証言になると突然眠気が吹っ飛ぶ。

『サウルの息子』とか『サラの鍵』とか『戦場のピアニスト』とか『ヒトラーと戦った22日間』とか『シンドラーのリスト』とかたくさん観てきてますが、
それでも本物の被害者や目撃者の証言の衝撃が強すぎる。。

大きな穴の淵に立たされて銃で撃たれる前に穴に飛び降りして
死体の山に着地して死んだふりをして
生きたまま土を盛られて埋められて
息が苦しくなって
息が苦しくて死ぬより撃たれて死んだ方がマシと思って
土から這い出たらもう夜になっていたから
うまくやれば逃げられるかもってことで
ナチに見つからないように土から這い出たけど
照明が当てられて動いてる体は銃撃を受けていて
その銃撃を避けてなんとか逃げた女性の証言とか本当に凄惨。。。

彼女がどれほどの勇気や使命感で証言したか。
思い出したくも語りたくもないはず。
もしかしたら「しゃべりやがって!」と恨みを買うかもしれないし。

その覚悟と話の内容がもう衝撃すぎて。

**

ナチのジェノサイドはユダヤ人だけではない。
混血や精神病者、今作では語られなかったが同性愛者も。

銃殺して穴に放り込む。
まだ動いている場合にはそこに手榴弾を投げ入れる。

その時ナチたちは酒に酔っていたらしい。
そういう時に酒を飲んでいたってのは他の映画でも描かれていた。

逆に酔っ払ってなきゃできないこと。
変な話たけど、ジェノサイドを執行するドイツ軍人の精神的負担も課題だったらしい。

**

そして「裁判最終日」というテロップ。

あ、この映画終わるんだ。
ずっと彼・彼女らの証言を聞きながら俺は死んでいくのかと思ったら、そうか映画なんだから終映の時間が来るわけだ。

当時のウクライナはソ連の一部。
ソ連が正義顔でナチ・ドイツを断罪する。
15名中12名を絞首刑に。

執行当日。
20万人と言われる群衆が見物に集まっている。


ラストネタバレ(?)はコメント欄に。
菩薩

菩薩の感想・評価

-
ナチスドイツがウクライナ人民を下等民族と見做し残虐の限りを尽くしたのと同様にソ連の中央政府もウクライナを同列の存在と見做してはいないであろうに、我が子可愛いやとでも言う様にウクライナの首都であくまでソ連のルール・ソ連のやり方でソ連の軍人が勝者の気概を持って一方的に敗者を断罪し群衆もそれに対しまさに鬼の首を取ったかの様に狂喜する。何かを覆い隠す為に、また何かしらの絶対的な結論をつける為に、完全なる形式として執行される一連の流れ。戦争を前に人はどこまで残酷になれるか、また冷静でいられるか。決して終わりの光景などでは無く、現代の混迷と地続きの凡庸の悪の種がここには撒かれている。

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