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ぼくは君たちを憎まないことにしたのsnatchのレビュー・感想・評価

4.0
「ガザ 素顔の日常」と対で見てみようと…

2015年11月13日パリのライブハウスで過激派組織「ISIL」の戦闘員が銃を乱射、130名が死亡した事件。そのテロに巻き込まれたある家族の実話の書籍を映画化した作品です
ジャーナリストのアントワーヌさんも、楽しんできてと送り出した最愛の妻と連絡が途絶えてしまう。ママママと繰り返す 3歳の息子メルヴィルとサイレンが鳴り響く深夜のアパートに取り残された
以下、内容に触れています




探し回ったその二日後、彼は妻の亡き骸にようやく対面した
生前と変わらぬ美しい愛しい妻の顔
彼はその夜、ある事を決意しSNSに記す

ぼくは憎んだり怯えたり人を疑いの目で見たりしない
今まで通りの暮らしを続ける
彼女がいつの日もぼくたちとともにいること
子どもが、幸福に自由に暮らすことで、君たちは恥じ入るだろう
君たちはあの子の憎しみも手に入れることはできないのだから

これは全文を抜粋した一部です
この言葉が出てきたことに驚きました

深い悲しみと喪失に突き落とされても、隣にいるメルヴィルはお腹が空くし遊んで欲しいし一緒にニコニコしたいのです
混乱の中、子どもの心を憎しみの塊りにはしたくないと父親が考えた決意です

突然に理不尽な形で愛していた人を失った遺族には、絶対に見知らぬ人でもいいから人との繋がりを1本でも一言でも切らしてはいけないんだとも思いました
ここではSNSの拡散で彼の決意の言葉を知り、冷静になって思考し勇気をもらった人々がパリを始め世界中にいて、彼自身もそれを知ることで、自分の殻を閉じずに繋いで生き継ないでいました

映画は敵味方と劇的な描写はなく、淡々とこの父親と息子のこの数日を見つめています

再び彼のこの言葉を多くの人々が読み、冷静に過去と現在と未来を考えなくてはと思いました
私も著書を読んでみます
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