寝耳に猫800

STALKERSの寝耳に猫800のレビュー・感想・評価

STALKERS(2023年製作の映画)
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一箇所で複数のカメラとカメラを向け合うことで、映像と音声が少しのズレを保ったままループしていく、それがトンネルという閉鎖的な空間で行われることで映っている人々が別の世界に迷い込んでいるように見えてくる、そして見ているこちらも別の世界に導かれていく感覚もある
(こういう効果が機能する撮影場所として「トンネル」を選択したというのはちょっといかにもすぎる気もしたが、これを撮るきっかけになった場所だろうしそこまでの不自然さはない)

サプライズで登場した監督のトークでも触れられていたがお弁当もぐもぐシーンの異物感、途中から段々とこの映画が作り出そうとしている(あるいはaccidentalに作り出してしまった)印象が自分の中で統一的な像を結び始めたところで、突如挿入される明るい場所でのお弁当もぐもぐシーンの違和感に戦慄した、観終わった後に考えてみれば、トンネルなどの主要な映像を含む他のシーンはこの映画が形作ろうとしているトーンに協力的である一方、もぐもぐシーンだけが圧倒的に浮いており、あそこが一番怖かったんじゃないかという気すらしてくる不思議

間違いなく商業映画でも娯楽映画でもないだろうが、ごくたまにこれを猛烈に面白がる人がこの映画を発見できる機会があればいいなと思う