ろく

オンナたちの告白 ~メグミ~のろくのレビュー・感想・評価

3.8
前作はただ不満だったけど今作は短いながらも実に城定らしいツイストの効いた作品だと感じた。

そもそも神は「自分の中にある善性」なんだよ。

だから神は思うってことは自分を見つめることでないかと思っている。そしてそれが「客観的に」どうだかは実は問題でない。宗教と反宗教の問題ってそもそもかみ合わないんだよ。宗教がひたすら「自己」だけを見つめるのに対し、反宗教はそこに「社会」と(仮想なんだけど)「利害」を見つめる。だから「宗教なんて所詮」って言う言葉に対し、自分だけを見つめている人には意味がないの。

おっと、だから宗教は良くないって話ではないよ。むろんそれを否定するものでもない。そもそも神を信じると言うことは「ただひたすらに自己を見つめなおす」ことなのかもしれないよね。その行為にはある種の正統性があると思っている。

今作品での架乃が見ているのは恋人でも家に連れてくる浮浪者の男でもない。ましてや神でもない。見つめている先は「自分」なんだ。神という鏡を通じ、自分の善性をもう一度確かめているだけかもしれない。

でもそれは本当に「よいこと」なだけなんだろうか。自分をただ見つめればいいのだろうか。この映画では最後なんともユーモアにあふれる「しっぺがえし」をする。それは神を見つめて、社会を見ないと言う行為に対しての(とても愉快にニヤニヤしてしまう)警鐘かもしれない。

どちらが正しいのか。神か、反=神か。でもそれは二分法で考えたがる短絡的な思考だ。神がいながらも神を信じない、そんな二律背反な世界こそ以外とリアルじゃないかと思う。だからこの映画に出てくる架乃は「不幸せでありながら幸せ」だ。
ろく

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