不倫スキャンダルで干された女優の蓮佛美沙子が、地元の熊本に帰省。
そこへ彼女の復帰ドキュメンタリーを撮るために、ディレクターの伊藤万理華が乗り込んで来る。
ノーマークだったが、おすすめされたおかげで見逃さないで良かった。
これは素晴らしく、実に面白い。
家族と確執を抱える主人公は、地元でなるべく目立ちたくないのに、次々と関係者が二人の前に現れ、ドキュメンタリーは早くもカオスに。
結果、家族との仲も、さらに拗れまくる。
一見対照的な蓮佛美沙子と伊藤万理華が、実は似た者同士なのがいい。
方や演技がヘタで、顔の良さを武器に業界にしがみついてきた人気女優。
方やドラマ志望なのに、バラエティの仕事ばかりで、才能に自信がないディレクター。
コンプレックスだらけの噛み合わない二人のぶつかり合いが、いつしか化学反応を呼び、二人が向き合わねばならない本当の問題が浮き上がって来る。
作劇も伏線が綿密に練り込まれ、タイトルの真の意味とかすごく粋だ。
ある種のバディものでもあり、地味に豪華な役者たちが、皆素最高のハマりっぷり。
笑って泣いて、ガツンと明日を生きる元気をもらえる快作。
上映館が少ないのがもったいないよ。
