〜試写会にて〜
魂の番(つがい)
原作を読んでこの言葉が刺さり好きになりました。
深く暗い海の中で誰か返事をしてよと鳴く世界で一番孤独なクジラ。
誰か助けてと心の中でSOSを叫ぶ人。
その声を聞き優しく包み込んでくれる人も実は同じ52ヘルツのクジラだった。この人も誰かにSOSを聞いて欲しかったんだ。。
虐待、LGBTなど現代の困難さを真正面から捉えてストレートに力強く表現していく。その重厚感と孤独なクジラが泳ぐ海溝の深さがオーバーラップする。
全体を通じて度々出てくるクジラの泳ぐ映像が荘厳な雰囲気を醸し出していて、魂の番という神秘性を引き立てている感じがした。
杉咲花さんの迫真の演技にあっという間に吸い込まれていく。原作を読んでいるのにこんな序盤から涙するとは予想もしなかった。切なくて何度も涙が溢れる。
キャスト全員がパズルのピースのように役にピタリとはまり、一枚の完成された絵のように美しい作品となっていた感じがします。
舞台挨拶で「エンドロールは現実の世界へ戻っていく準備をしている時間」 と言っていた杉咲花さんの言葉がとても印象的でその瞬間にファンになってしまいました。まさに花言葉。
生涯記憶に残る素敵な作品でした。