苦しい…苦しすぎる…！
思い込みの魔力って本当に凄まじくて、言霊と通ずるところがある。「大丈夫」と手を差し伸べてくれる存在がいることがどんなに救いになるか。杉咲花の圧倒的な表現の力で自分もその世界にいるような苦しみを味わえる傑作。
どんなに叫び続けても届かない声。
その苦しみは当人にしかわからないのでしょう。救いの手を差し伸べたい気持ちはあれど、自分がその状況・立場になった時に彼らのように行動ができるのか…と考えてしまいます。
言うは易し、行うは難し。
言葉一つとっても凶器になり得るし誰が悪いというのでもありません。
いくつか演出的に不可解な部分はあれど、役者の演技の素晴らしさと原作の持つ物語の魅力が最後まで牽引しています。
志尊淳が叫ぶとあるシーンは肯定できますが、宮沢氷魚の叫ぶシーンは「早よ救急車呼べよ」としか思えんかったのはキツいですね。話は好きだし、役者の演技は素晴らしいけどここは評価に困るところ。
そして、もはや同世代の俳優の中でも抜きん出た存在感のある杉咲花。演技でその場を支配し、瑞々しさと心苦しさの陽と陰を使い分けられる凄まじさたるや…恐ろしいです。
志尊淳、小野花梨らメインキャストも良かったですし、倍賞美津子と余貴美子のベテラン勢もお見事でした。
ずっと画が保つって凄いですよね。
あと言及しておきたいのは西野七瀬。
出番は少ないながら「このクソ毒親め」と憎しみの如く思わせたのは凄いですね。
『恋は光』で一皮むけたと思わせられました。
いま『孤狼の血』でイマイチだったあの同じ役をやらせたら印象が変わるかもしれないと思いました。そう思わせるぐらいのインパクトがありましたね。
とにかく苦しくてもう二度と観たくない傑作だと評させていただきます。
〈キャスト〉
三島貴瑚：杉咲花
岡田安吾：志尊淳
新名主税：宮沢氷魚
牧岡美晴：小野花梨
少年：桑名桃李
村中真帆：金子大地
品城琴美：西野七瀬
三島由紀：真飛聖
藤江：池谷のぶえ
岡田典子：余貴美子
村中サチエ：倍賞美津子
※2024年新作映画28本目
※2024年劇場鑑賞29本目
