社会のダストダス

52ヘルツのクジラたちの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.3
これ、Filmarksのあらすじ見てから観に行った場合、ネタバレぽいの書いてあるので注意が必要なのでは。

最近邦画を観るときについてしまった悪い癖が発動したためか、少し評価が難しくなってしまった作品。私が清く純粋な心を持っていればと悔やまれる。

悪い癖というのは最近の『マッチング』でも少し書いたけど、主人公にとって最悪なパターンを適当に予想してしまい、大体当ったけど思ったよりマイルドな展開に落ち着き、自分の性格の悪さに驚くというもの。

特に現在の時間軸から始まって、回想で遡っていく形の作品はよくやってしまうので気を付けたいけど、邦画は時系列的に3⇒1⇒2⇒4になるパターンが本当に多いのでこの罠によくハマる。(『市子』『ある男』など)

52ヘルツのクジラたちっていうのは映画を観終わったあとだから思うのは、登場人物全員に掛かっているのかな。みんな人の話をロクに聞かないし、言いたいこと抱えたままログアウトしてしまう。

個人的な好みでいえば現代のパートをもっとじっくり見たかったというか、『パーフェクト・デイズ』や『アフターサン』ほどとまではいかないまでも、過去の出来事は匂わせくらいでも良いので、現在の貴湖と少年との日常をもっと見たかった気がする。

杉咲花さんの出演作品を観るようになったのはまだ割と最近になってからだけど、『市子』に続いて今回も凄く良かった、映画としてはノリきれない部分も多かったのに流石だなと。ショートカットもロングヘアーも、ワンピースもTシャツデニムも全部美しくて最高かよとなり、画的な満足度が高い。

キャストの方々は素晴らしく、志尊淳さんと宮沢氷魚さんの叫ぶシーンというのは特に、タイトルになっている群れから外れたクジラの誰にも届かない声というのを表わしているようで印象的だった。あとこういう重めな人間ドラマに倍賞美津子さんが出てきたときの安心感は凄い。