魑魅魍魎

52ヘルツのクジラたちの魑魅魍魎のレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.2
 覚悟して観たつもりですがやっぱりしんどいシーンが多かったです。没入して観てしまうタチなのでいわゆるSAN値がガリガリ削られる感がありました。でも観て良かったと思いますし、色々と考えさせられました。ラストシーンは「希望はある」という感じでしたし、アレが登場するクライマックス(?)も多分にファンタジックではありますが、そのくらいあってちょうどバランスが取れている感じですかね。
 この作品がフィクションであって本当に良かったとは思いますが、貴瑚や愛、アンさんのような境遇の人達はきっと実際にいるのでしょう。ともすればデリケートに扱わざるを得ないテーマを複数内包する本作ですが、専門家の監修を入れつつ真摯に取り組んでいる事に観なければならない使命感みたいなものを感じました。
 貴瑚の声なき叫びに気づけたアンさんも実は…という展開も切ないですし、知らぬ事とは言え貴瑚自身の常識の上での振る舞いがアンさんを傷つけてしまうというね…。そういうことがあり得るんだという事実は肝に銘じなければと思っています。
 最後に中の人繋がりなだけで全然関係ないのですが、杉咲花さん演じる貴瑚の境遇は別作品の「市子」を連想せずにはいられません。こちらはまた別のニュアンスで壮絶なのですが…。物語違うんだから当たり前ですが、見た目は同じだけど全くの別人。この辺りが杉咲さんが演技派と言われるゆえんなのでしょうか?「役者やの~」という感じですね。
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