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52ヘルツのクジラたちのKaz66のレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.1
2021年の本屋大賞を受賞した、町田そのこによる同名小説の映画化。
監督は「八日目の蝉」の成島出さん。
主人公の三島貴瑚(きなこ)に杉咲花、きなこを救い出す“アンさん”に志尊淳、きなこが面倒をみる少年(桑名桃李)の3人を中心にして、その仲間・家族・近所のコミュニティでの回想劇。
“52ヘルツのクジラ”は他の鯨には聞き取れない高い周波数で鳴き(通常は20-40Hz)、広い海で最も孤独な🐳と言われている。
児童虐待・家庭内DV・ヤングケアラー・トランスジェンダー・毒親…などの、声なき声/一般の人たちには届かないSOSを拾い、助け合って生きて行こうとする物語。
杉咲花がまた不幸な役で「市子」を彷彿させるが、少し救いのある方向に演出されちょっとホッとした。それより、志尊淳があんな役だと思ってなかったので、その演技にジンときました。宮沢氷魚の役はホント最悪…でも現実にありそうな感じで熱演でした。
とても“苦しく寂しい”物語でしたが、最後には少し光が差し込み、美しい成島節の映像で“前に向かう”エンディングだったと思います。
Saucy Dog の主題歌も切なく響き、プロデュースされたストーリーテリングにちょっと感動もしました。(が、現実はどうなんだろう?と社会問題として大きくなるこのような案件に憂慮を覚えました…)
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