Kenzo

52ヘルツのクジラたちのKenzoのネタバレレビュー・内容・結末

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

同名小説の映画化。
ネグレクト、DV、ヤングケアラー、トランスジェンダー…現代社会における様々な問題を内包する本作は問題作であると言っていい。
ある時は激しく、ある時は優しく心が揺さぶられる。主人公キナコこと貴瑚を演じた杉咲花がとにかく素晴らしい。前作『市子』が残念ながら未見なのだけど、絶賛された前作に引き続いての難役で存在感を発揮。ネグレクト、DVから
サバイバルしたキナコが、自身が守る者へと変貌したのは何があったのか。彼女を救い「魂のつがい」となることを欲して、遂に叶わなかったトランスジェンダー男性安吾を演じた志尊淳。彼もまた本作に無くてはならない存在。
貴瑚を自死から救った安吾が、隠してきた秘密を暴露されただけでなく、母親の何気ない言葉に絶望を覚え死を選択したのは残念。
安吾、貴瑚、と受け継がれてきた「52ヘルツのクジラ」は愛に繋がれた。
クライマックスの迷いクジラのシーンから続くエンディングは、悲しかった物語が最後に報われたな、そんなラストだった。
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