このレビューはネタバレを含みます
17本目 ネタバレ注意
親から虐待されていた過去を持つ貴瑚は、
引っ越してきた村で虐待されている少年と出会う
彼と交流を深めていく中で彼女は昔あったアンさんとの出会いを振り返っていく
ソロモンの偽証前編(後編見なさいよ)以来鑑賞の成島監督作は
届かない声をあげる孤独なクジラたちの物語
撮影監督が相馬さんなこともあってか、
割と手持ちのカメラだったり長回りが多いと感じた
それで見る杉咲花の演技はより力強く感じたので、
この選択は間違いなかったんだろうなと思う
日本一手持ち撮影が似合う俳優かも
ただ肝心の話の方は申し訳ないけどかなり厳しめ
豪華な俳優陣とは裏腹に、そのほとんどのキャラクターが使い捨ての薄い人物ばかり
貴瑚を虐待していた母親のその後くらいは、少し描いても良かったはず
重要なアンさん周りも、なぜあの脅しに走ったかの理由の組み立てがなってなかったと思うし、
その上であの慟哭を見せられるとどうしても疑問に残ってしまう
個人的にダメダメすぎたのが、アンさんの最後のシーン
もちろん演出上あえて狙って言っているだろうとは思うけど、
自分の秘密を暴露された後に、アンさんの母親が「娘は今ね〜」と言い出す、
今年見た映画の中で1番むかつく言葉から始まり、
風呂場の中で息絶えてるところまで上手く長回しを活用しながら見せていくのだけど、
これがアンさんの最後を写してしまうのが本当に良くなかった
杉咲花の演技力で持っている映画なので、彼女が絶望している顔で終わらせれば良かったのに
長回しの撮影も褒めたけど、逆にそこも気になる点があったりして、
「えっ?そこ割るの?んでその後も見せるの?無駄じゃね?」なところが何度かあって気になった
扱っている題材は社会的だから嫌いじゃないけどね
ラストシーンの流しそうめんの立つ位置が、人を写すことだけを考えて、
明らかに逆なところに誰も気が付かないくらいには、雑な映画だったなあ・・・