Shussissi

52ヘルツのクジラたちのShussissiのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.4
@品川プリンス
いやー痺れました。
どれぐらい痺れたかって言うと、普段ケチでプログラムなんか買った事がない私が、多分“ガンダムF-91”ぶりぐらいにプログラムを買ってしまった程です。
ある友人が「邦画って基本的に暗いよね」と言っていて、私も大雑把に言えば確かになと思うところは有ります。20代の頃とかは勝手に全ての洋画の方が邦画より面白い、と邦画を毛嫌いして一切見なかった時期も長く有ります。
本作も途中まで、いくら映画だとは言え「ここまで悲劇に悲劇を上塗りしなくても良いじゃん!もう耐えられなくなりそうだよ...」と思ってたのですが、絶妙な描き方で題材はシビアながら最後はなぜか希望が持てる温かい終わり方で、個人的には非常に心地よかったです。
主演の杉崎花さんはちょっと前にも「市子」の演技で感銘したばかりですが、それとちょっとカブる感じも有りながら、本作の演技もスゴすぎる。この2作で一気に好きになりましたし、本作も彼女主役でなければおそらく成り立たなかったでしょう。
もう1人の主役の志尊淳さんは、私の中で「らんまんのタケオ」のイメージなんですが、やはり誰かを支える感じの役が合ってるんですかね?あご髭は開始からなんかすぐ違和感が有ったので、途中で「あ、そういう事だったのか」と思いました。彼の
【家族は呪い】
と言う言葉は非常に刺さって、本作だけでなくここ最近観た「市子」や「愛にイナズマ」など家族の在り方が絡む話に通ずる言葉ですね。
また、アカデミー賞を含め昨今はものすごくクィア映画増えてますし、私もたまたまかもしれませんが最近刺さった映画の多くはそれ系の映画。「シチリアサマー」とか、障害者を描いた「弟は僕のヒーロー」や「夜明けのすべて」とか。しかし本作は非常に当事者目線で考えられていて、変に脚色多くしたりしてないで良いなと思いました。ミニシアターならともかく、結構な公開規模な本作でなかなか勇気がいるのではないかな?と思います。こう言う映画が多くの人の心に届き、それこそ「52ヘルツのクジラの鳴き声」がたくさん聞こえるようになると良いですねー
いつもは映画観た後にYoutubeとかで、色々なレビューを観るのですが、この作品はほとんど見ませんでした。正直、なんとなく著名な評論家の方々がこの作品を酷評するようなポイントが想像できてしまったので。おそらくレビュー見たら今の私の感情からはマイナスしかないでしょう。確かに貴瑚の恋人とか、かなりツッコミどころ多い部分も有りましたが、そう言う細かな詮索しなくても言いたい事を汲み取ってあげれば良いじゃん、と本作に関しては思えました。
アンさんが自殺するシーン、普通なら匂わせで終わらせる描き方も多そうですが「しっかり最後まで撮り切って印象付ける」とかそこら辺の強弱がものすごく上手くて、こちらの感情移入もしやすいですし、モヤモヤせずにスッキリ余韻に浸れました。
と言うわけで2024年観た映画の個人ランキングでは今のところトップに躍り出ました。しかしここ最近の邦画はかなり面白いのが多いですねー。杉崎花さん出る作品は今後も観たいと思います。
成島監督作品は多分「八日目の蝉」と「いのちの停車場」以来ですが、その2つも結構好きでしたが、本作は軽く超えていきました。また楽しみにしたいと思います。

景色キレイ
クジラすごい
鳥天食べたい
大分、行きたいです!
Shussissi

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