現代の時世の負の問題をいろいろと詰め込んだ意欲的な社会派作品であることは事実なのですが、1本の映画として今ひとつ纏まりきれていません。
ネグレクトやヤングケアラーにジェンダー問題など、社会的な疎外に翻弄されて生きる瀬戸際に陥っている人々の救済をテーマにしているのだとしても、実は何も解決していない結論に救いを見い出すことが出来ません。
つまりモヤモヤした違和感が最後まで拭えないので、感動作として位置付けることも不可能なのです。
例えそれが本作の狙いだとしても、それを観客に理解させるに至る脚本と演出に至っていないのが残念であり、杉咲花さんの演技力の凄さだけが際立つ勿体ない映画です。