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52ヘルツのクジラたちのkomagire23のネタバレレビュー・内容・結末

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)

個人的には頂けない作品でした‥

個人的にはこの映画は2点の問題があって、正直頂けない作品だと思われました。

1点目の問題は、傷つけられた善意の人(主人公・三島貴瑚(杉咲花さん)、岡田安吾(志尊淳さん)、少年(愛)(桑名桃李さん))と、傷つける悪意の人( 三島由紀・貴瑚の母(真飛聖さん)、新名主税(宮沢氷魚さん)、品城琴美・少年(愛)の母(西野七瀬さん)など)が、明確にきっぱりと分かれている点です。
個人的にはこのように、善意の人と悪意の人がほぼ0or100できっぱりと分かれるだろうか?そのような人間理解の浅いステレオタイプの人間の描き方は決して映画表現でやってはいけないのではないかと強く思われました。

2点目の問題は、この映画は幼児虐待や家庭内介護や性同一性障害の人や問題を扱っていますが、それぞれが個々に持たされてしまった持っている傷は、当事者の人達は本当の深い意味では理解されないと思っているのではないか、そのことがきちんと描かれていないのではないかとの疑念でした。
当事者の傷はそれぞれ違っているので、安易に自身を理解したつもりになってもらっては困る/安易に相手を理解できると思ってはならない(それぞれの相手に丁寧な距離感で接する必要がある)、と感じていました。
そのような私のような人間理解の人が見ると、この映画の饒舌に語る登場人物たちに、個人的には最後には【うるさいよ】とすら感じる場面も少なくなかったです。

この、善悪をきっぱり分けて人間を描いてしまう問題と、善意の心があれば饒舌に相手の傷にも踏み込めるのだという(私的感じた)傲慢さは、個人的には人間理解の一面的な(一部)新人監督にありがちな日本映画の問題と感じてはいます。
しかし、良く調べもせずにこの映画を見て監督がベテランの成島出監督だということを後から知り、個人的には大きなショックを受けました。
成島監督はこんな浅はかな人間理解の映画をあなたは撮ってはいけない、と僭越ながら強く思われました。

もちろん主人公・三島貴瑚を演じた杉咲花さんをはじめとする俳優陣の演技力に疑問を差し挟む余地はないと思われます。
この俳優陣でこの題材でこのような作品に仕上がってしまったのは、個人的には残念に思われてなりません。
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