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52ヘルツのクジラたちのKのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.0
家族の呪いは破滅へと。重々しい社会問題を数えきれないほど結びつけてはいたけど、結局はここに終着するというのがなんとも残酷。救いのない物語かと思っていたけど、寄り添い合いながら生きていくことを決意して明るい終わり方へと開けていたのはよかった。ただ過去が丁寧に描けすぎているあまりに、現在での掘り下げが不十分なまま走り切ってしまった印象。過去との繋がりに頼った感動にはどうも都合の良さを感じた。あとキナコの両親が単なる記号で片付けられているからそれまでの背景がただの暗い過去として省略されている。それに加えて社会問題同士がうまいこと結ばれていくから、それぞれの内面というよりは表面の部分だけが浮かび上がってきてしまい、ストーリーに合わせた見え透いた妥協がちらついてくる。原作は未読だけど、過去を丁寧に描くならばもっと遡ってほしかった。でまあ演技がうますぎてどのシーンを切りとっても同じ杉咲花がいない。作品の要を支えながら同時に前へ引っ張ってる。頑張ってほしいです。
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