何気ない日常の中の静かな感情のざわめきや他者との関わりから生じる憂いなどを独創的な視点で切り取った四つの物語。
派手さはないけれど何度でも食べたくなってしまう個人経営のお弁当屋さんの幕内みたい。優しくてどこか懐かしい味があとに残る。
ホームの反対側から体操をする二人を捉えていたり、夜の遊歩道を散歩する後ろ姿だったり、その構図や距離感が心地よかった。
ふとした行き違いから疎遠になってしまった友達のことを考えて涙するなんて…。
こんな、人との繋がりも「効率性」で成り立ってしまっている世の中では、そんなことすらなんとなく懐かしく思ってしまう。