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サッドカラーのshironのレビュー・感想・評価

サッドカラー(2023年製作の映画)
5.0
コメディ至上主義者です。
ベタな笑いも好きですが、そこはかとない笑いがとくに好き。
本人達はいたって真面目で真剣なのに笑える…そんな一歩引いた目線の笑いが大好きです。

ぴあフィルムフェスティバル2023入選『サッドカラー』にドハマり!
興奮のあまり、会場で『ホゾを咬む』のチラシを配っていた監督に「必ず観に行きます!」と宣言した程。笑

どこを取っても完璧で美しい構図!
柱や壁で仕切られたフレーム。カウンターキッチンまでもが額縁のよう。サイドミラーにも神経が行き届いている。
でも、そんなハイセンスな絵で語られるのは、バカバカしい価値観の世界。
野田英治さんのユーモラスな演技にツッコミを入れるうちに、いつしか狂気じみた愛の世界に引きずりこまれていきました。

ズバリ!髙橋栄一監督の魅力は美しさの中に共存するユーモアと狂気の絶妙なバランス。
いつどちらに傾くかわからない。
美しさと狂気はそもそも相性バツグンですが
美しさと笑いの合わせ技にめちゃくちゃ興奮しました!

そして、社会が無言の圧力で「こうあるべき」と押し付けてくる“価値観”の恐ろしさ。
当たり前のこと、常識とされていることへの疑問が生まれます。
常識がしっくりこない人を危険人物とみなして無理やり自由を奪って矯正させらる社会は、暴力的。
そこから外れてしまうことを恐れるがあまりに本末転倒な結果に。。。
手段と目的の逆転に興奮!


◾️2024/2/25モノクロ版 鑑賞
色の情報が入ってこないぶん音の演出が際立つ!
カラーより自分の感覚が研ぎ澄まされていることに気づきました。
見比べることで実際に体感できた、とても貴重な映画体験でした。
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