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ヴォルーズのようのレビュー・感想・評価

ヴォルーズ(2023年製作の映画)
2.5
妊娠を機に稼業にピリオドをつけようとする泥棒の話。
いわゆるケイパーもの。+ロマコメ。

メラニー・ロラン監督作、自分は『ガルヴェストン』『社会から虐げられた女たち』に続いて3作目。

メラニー・ロラン自らの主演。
相棒役に『アデル、ブルーは熱い色』のアデル・エグザルコプロス。


全体を通して、脚本というか、ストーリーテリング上で必要そうなところがちょいちょい省かれてる印象。

主人公たちが属してる組織が一体どういう組織なのかいまいちわからないってのもあるのだけど、イザベル・アジャーニ演じるゴッドマザー(組織のボス)が主人公を頑固に辞めさせない理由もよくわからない。
「嫉妬?」って訊いてんのにはぐらかすし、なんなの?

運転手が必要だつってレーサーやってたサムを加入させるんだけど、いきなり泥棒をやる理由は特になかったような(見落としたかな)。
で、そのサムのドライバーとしての腕を見せるくだりが途中一回あるだけってのもどうなんだろう。
その割には新人研修をたっぷり見せるから、なおさら変に見える。
本番の作戦でも、結局ドライバーは必要なく、しれっと3人揃ってる。
その後のクライマックスでも、現場説明係という役割でしかない。
なんのために雇ったの?

ゆるいコメディタッチなのはいいとしても、ある程度の肉付けは必要だとは思う。

アデル演じるアレックスが一対一の格闘をするシーン。
もう相手には勝機がないって見せてからの、「はい、死体処理」ってところ。そこの省き方は好きだけどね。


映像的にも「ここは見せたほうがいいのでは?」と感じるところがある。

ダンスで相手たちを油断させといて……ってところ。
ダンスそのものはかっこいいんだけど、スナイパーと敵たちとの位置関係を見せたほうがいいなと。
他のくだりでは一応やってるからさ。

あと、最後のクライマックス。
警察が来てるからもう逃げられそうにないって状況のようだけど、そう見えるショットがない。

まあ、この2つは、撮影時の現場の状況にもよるところなので、言ってもしかたないかもだけど。


アレックス役のアデルが腕利きのスナイパーにちゃんと見える。
『アデル、ブルーは熱い色』の彼女とはけっこう違う。
フローレンス・ピューにも通ずるような、かっこよさがある。


あと、主人公のお腹の子の父親についてはまるで言及がないのは今どきだなと。
途中まで「話になんか絡んでくるのかなあ」と思ったのだけど、別に父親が誰かってことはどうでもいいことになってて、「別に男がどうこうって話じゃないんですわあ」っていうのは潔い。


最後の最後にあるくだりについては、うーん。
そのウエットさは要るのかなあ。
「じゃあ、さっきのクライマックスでのウエットさは何だったの?」「観る人にも全部説明してくださいよ」って思っちゃう。


エンドクレジットに珍しくNG集が。
なんかこういうの楽しい。
メラニー・ロラン的には、役者同士のこういうアンサンブルこそ面白がって撮影したのかなとも思える。
よう

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