フレッド・ジンネマン監督によるアカデミー賞ノミネート作品。

パディは妻のアイダと息子を連れて、羊たちの大群を400マイル先まで運びながら馬車での移動生活を送っていた。この生活に満足しているパディに対し、アイダは一つの場所に腰を据えて生活したいという思いがあった。当初は2人の意見は対立していたが、次第にパディも妻の願いを叶えることを決意するのだが...。

オーストラリアの雄大な自然を舞台に、強く逞しく生きる親子3人の絆を描いた感動作。2時間超の大作ながら、親子の生活が淡々と綴られるだけなのでストーリーに大きな盛り上がりがなく、正直なところちょっと退屈してしまいました。それこそ『大草原の小さな家』のような形で、ドラマシリーズ化するべき作品のような気がしてしまいました。
無骨な印象だけど実は情に熱いお父さんをロバート・ミッチャムが、凛とした魅力のお母さんをデボラ・カーが演じていて、とってもお似合いのカップル。デボラは貴婦人のイメージが強いので、本作で時に泥だらけになりながらも葛藤する自然体な女性像が意外性たっぷりで素敵でした。本作でオスカーにもノミネートされています。
個性派俳優さんのピーター・ユスティノフもオイシイ役柄でまた良かったです。さらに『メリー・ポピンズ』のお母さん役で知られるグリニス・ジョーンズも出演。

特に見どころのシーンとしては、羊の毛刈り対決（笑）。延々と羊の毛を刈り続けてその数を競うシーンが続くのですが、かなりシュールで逆に面白かったです。
オーストラリアの自然を目一杯切り取った圧倒的なカメラワークもジンネマン監督らしいダイナミックさ。

好きなフレッド・ジンネマン監督で、前から観たかった作品。やはり復刻シネマライブラリー！　8名しか投稿がない^_^

アカデミー賞を二度も受賞している名監督ですが、やや地味ですかね？^_^受賞作品以上に好きなのが「ジャッカルの日」「ジュリア」「氷壁の女」。

真面目でドキュメンタリータッチの丹精な感じの作品が多い印象の監督ですが、この作品は結構おおらか^_^

雄大なオーストリアを舞台に、定住を好まない旦那とその妻と息子。この旦那はいまだとノマドですかね。オーストリアの開拓時代を描いた映画は珍しいのですが、西部劇風。羊とかカンガルーがいっぱい出てくるのはオーストリア風。羊追いとか羊の毛刈り競争とか競馬とかを取り込んで、ジョンフォードばりに楽しいです^_^

デボラ・カーさん好きなんですが、こんな土臭い役でも気品が滲み出てました^_^

オーストラリアで羊の群れを移動する仕事に就いている夫(ロバート・ミッチャム)とその妻(デボラ・カー)と息子の悲喜こもごも。大きな盛り上がりはないものの、家族それぞれの思いをじっくり描いていて、人情噺に引き込まれた。オーストラリア舞台なのに、江戸っ子気質を感じてしまった。

壮大な景色はまるで西部劇のようで、男たちもカウボーイみたいなのに、荒くれさは少ない。移動生活することで、定住できない「放浪(オーストラリアの言葉でサンダウナー)」がサガとなり、家庭を築くことが難しくなる。

主人公たちは家族で移動しているため、定住して教育を受けさせたい妻と息子の思いと、夫の間に溝が生まれていた。

ロバート・ミッチャムは「夜の狩人」の印象が強烈にあり、いつ悪い人に豹変するかドキドキしたけれど、あのスリーピングアイのまま、気だるく、賭け事ですっからかんになってしまう飲んべえな職人だった。宵越しの金は持たねえ、の江戸っ子ぽくて親近感湧いた。

美しいデボラ・カーはたくましく、強いお母ちゃんで、これまたチャキチャキの江戸っ子に見えてしまう。

息子は気になった女の子のいる町に定住するのを夢見ているが、お金が貯まると父親が飲んだくれて賭け事ですってしまう…これまた江戸っ子の噺っぽい。

羊にまつわる仕事はさまざまあり、羊の毛刈りの際に、「タール・ボーイ」なる仕事があった。調べたら、毛刈りの際に羊を傷つけたら、タールを塗って止血する仕事だそう。

息子が父親の賭け事で得た競争馬に乗ってレースに出るシーンはダイナミックで気持ちよかった。その馬が非常に美しい。馬の種類は詳しくないのだけれど、競争馬ほど脚は細くなく、腿がたくましい。全体に均整のとれた強い馬だった。斑が入り白っぽい。見たことのない馬の種類に見えた。

オーストラリアの壮大な景色と、人恋しい人々の人情を味わえて、気持ちいい映画だった。

鑑賞者が少なく20番目のレビュー。Unextで観られますよ。日本では非公開、アメリカではアカデミー賞にノミネートされた作品です。