人間に擬態可能な、異星人の難民”X”の受け入れを決めたIFの日本の話。
世論が賛成反対の真っ二つに割れるなか、マスコミは社会に紛れ込んだX探しに夢中。
崖っぷち雑誌記者の林遣都は、X疑惑のある上野樹里を取材しているうちに恋に落ちてしまう。
映画は、マスコミにマークされた二組のカップルを並行に描く。
なかなかに興味深い寓話SFで、難民問題、マイノリティ差別、陰謀論やフェイクニュースによる扇動など、様々なイシューが盛り込まれている。
だが属性に対する先入観や偏見を捨て、目の前にいる人を心で見ましょうと、言いたいことはごくシンプルだ。
人は無意識のうちに、知らないものを恐れ、氾濫する情報を判別出来なくなると、最後には自分自身すら信じられなくなる。
「正欲」とも重なる内容だけど、こちらは言わばマジョリティ側からの視点。
林遣都がややオーバーアクト気味なのが気になるが、どっしり構えた上野樹里が素晴らしい。
しかし、Xを”今”受け入れるかどうかの話なのに、すでに何十年も前からいることになっていたり、基本設定に混乱が見られるのはちょっと残念。
そこは本質的な部分では無いのだろうけど。
