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隣人X 疑惑の彼女のハルのレビュー・感想・評価

隣人X 疑惑の彼女(2023年製作の映画)
3.6
不思議なタイトル。
内容の想像ができず、それを楽しみに観賞したが、若干のSF要素を加えた至って普通のラブストーリーだった。

アメリカに続き、“惑星難民”を受け入れることに決めた日本。
枠を宇宙に広げただけで、根本的に描いている部分は人種差別の延長線上。
人間に擬態して普通に暮らすことができる『X』を受け入れられるかどうか。
見た目も変わらず、害もない。
しかし“よくわからない”という理由だけで迫害しようとするヒトの群れ。

久々にみた上野樹里の印象は「こんなにもキレイな人だった?」だ。
ボクの頭は上野樹里=のだめに洗脳されているけれど、今回はとても自然なお芝居に感じられ、スッと心に入ってきた(元カノが音大出身のため、数年間ずっと“のだめ愛”を語られ続けた影響)
バイトを掛け持ちしながら穏やかにひっそりと暮らす良子がピタリとはまる。

話の大枠は良子がXであることを疑われ、記者の憲太郎(林遣都)が彼女に近づきそのうち恋仲になっていくという流れ。
うん、やはりオーソドックスなラブストーリーだね。
とはいえ、中盤以降はX探しが本格化していくのでミステリー要素も少々。
「だれがXなのか?」「Xは危険ではないのか?」
自分と違うものに恐れを抱き、理由もなく迫害しようとするのは人の性なのかな。
悲しく、淋しい。
また、正体を暴かなければクビを切られる憲太郎が仕事と恋愛の間で右往左往する様子も見応えがあり、ポリバレント性が高い林遣都だからこそのリアルな演技に感情が刺激される。

恋愛→X探し→恋愛というわかりやすい構成。
Xの正体はしっかりと描かれていたし、その後の展開を期待させつつ終わりを迎える手法も好みだけど、トータル的に中途半端な印象は拭えず。
映画は原作と内容を変えているとのことなので、映画が合わなかった方はそちらをチェックしてみるといいかもです。
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